※更新は現在の所、不定期になっております。
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PCV
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PCV
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VCV
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VCV
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Efficacy and safety of a paired sedation and entila
tor weaning protocol for mechanically ventilated pa
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in intensive care (Awakening and Breathing Controll
ed trial): a randomised controlled trial
㸹
㹊ance
t
.2008
㸹
371
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126
-
34
P㹋ID㸸
18191684
㸰)
Sedation depth and long-term mortality in mechanica
lly ventilated critically ill adults: a prospective
longitudinal multicentre cohort study
㸹
Intensive Care Med,2013 May;39(5):910-
8
PMID
㸸
23344834
Q、AC/VCのモードの設定したTVよりも実際に表示されるTVが大きいのはどうしてですか?
呼気一回換気量が多く表示される原因として、陽圧換気であり送気されるガスには圧力が加わります。閉鎖状態において温度が一定の場合、圧力が上昇すると体積は減少します(ボイルの法則)。そのため圧力の変化(陽圧)による体積(換気量)変化を補正するための機能が各人工呼吸器によって異なります。送気されるガスは回路にも同様の圧力が加わることで、回路のコンプライアンスの分だけ損失し患者へ送られません。その容量を補正する機能があり、装着前や回路交換時に点検(補正)を行いますが、正確に計測できていない場合などは換気量の変化(増加・減少)となってしまいます。
※ボイルの法則:一定の温度の下での一定量の気体の体積は圧力に反比例するpV=k(一定) 気体の圧力p、体積V、
もう一点が気体です。人工呼吸器の吸気側から送気されるガスと体内から排出される呼気ガスとでは気体の性質が少し異なります。吸気側より送気されるガスは室温に近く、ブロアータイプでない場合は圧縮空気などの配管から送られるため乾燥しているガスが送気されます。呼気側で計測される呼気一回換気量は加温加湿器などを通過することで温度や湿度が上昇して体積が変化(増加)してしまう場合があります(シャルルの法則)。このような温度、圧力、湿度による体積の変化に対して気体の表示方法(補正)も人工呼吸器によって異なります。呼気は肺胞からの換気量のためBTPSが用いられていることが多いですが、環境や(回路構成)などによって換気量の変化(増加・減少)となってしまいます。
※シャルルの法則:一定の圧力の下での一定量の気体の体積は温度に比例する
V/T=一定
※ボイル・シャルルの法則:質量が一定の時気体の体積は圧力に反比例し、絶対温度に比例する
PV=nRT(p;圧力、V;体積、n;モル数、気体の定数、T;絶対温度)
※気体測定
BTPS:Body temperature and pressure saturated
ATPS:Ambient temperature and pressure
saturated
STPD:Standard temperature and pressure, dry
※今回自習で使用したPB840では画面上部の実測値表記は呼気の一回換気量になっております。PB840にはSSTというショートセルフテストがあります(主に使用前などに臨床工学技士などによって確認されていますが)がそのチェック時に回路構成を選択する箇所がありますが、加湿器回路変更後に人工鼻の回路構成のまま実施してしまうと、送気の換気量に対して温度と湿度が増加するため実際の換気量は増加してしまう(吸気換気量より呼気換気量が増加)場合があります。
もう一点は自発呼吸時の呼気が実際に多い場合です。基本的に人工呼吸器は閉鎖回路であり、自発呼吸がなく上記のような気体の性質以外では吸気・呼気に
関しては同じ量になりますが、自発があり呼気時にFRC(ERV)分が増加する場合なども吸気に対して呼気が増加してしまいます。
あと使用しているモードにも注意する必要があります。VCVは換気量制御ですので吸気と呼気は基本的に同じ量になりますが、PRVCではコンプライアンスに応じて換気量を保証するように吸気圧力が変動するため、目標換気量までの圧力変動中などは換気量が少し設定より少なくなったり(コンプライアンス低下時)、多くなったり(コンプライアンス上昇時)してしまう場合があります。
換気量の差が出るなど異常と思われる場合など、使用している人工呼吸器の仕様や回路構成や条件など確認されるといいかもしれませんね。
参考文献
・Intensivist Vol.10 No.3 2018 p568-576
Q4、PRVCモードが適応となる状況は?
PRVCモードではないといけない状況はありませんが、あえて言うのであれば自発呼吸(吸気努力)がある患者にある程度安定して一回換気量を送りたい患者に用いるという状況かと思います。しかし、使用時にはPRVCの特徴・注意点を知っていることが必要です。
PRVC(Pressure-Regulated, Volume Control)は量規定換気(VCV)と圧規定換気(PCV)のそれぞれよいところをとった換気モードと紹介されることがあります。これはVCVのように一回換気量を設定する、PCVのように吸気圧の気道内圧上限値が決まっていることや吸気流量は患者の吸気努力に合わせて送られるという特徴です。ですので、自発呼吸(吸気努力)がある患者に一回換気量を確実に送りたいときに、患者と人工呼吸器の同調性が得られやすいということでは使いやすいと思います。
ただし、知っておくべきこのモードの特徴は、吸気の気道内圧上限値以下の範囲において、“設定された一回換気量を達成するためにできるだけ低い吸気圧になるような吸気流量パターンを呼吸器自体が調整してガスを送る”ということです。
例えば何かの原因(肺炎増悪、胸水貯留、気道狭窄など)により、患者の呼吸努力が強くなっている場合があるとしましょう。努力呼吸が強くなっても吸気流量は患者の吸気努力に合わせてガスを送りますので、患者の吸っている一回換気量は設定された一回換気量よりも多くのなることがあります。この場合、人工呼吸器は先ほどの、“設定された一回換気量を達成するためにできるだけ低い吸気圧になるような吸気流量パターンを呼吸器自体が調整してガスを送る”ことが影響します。人工呼吸器は“お、この患者は一回換気量が多くなっているな。だったら吸気圧を少なくしてもよいだろう”と判断します。そのため吸気努力が強くなって一回換気量が多くなっているにもかかわらず、一回換気量を少なくするように吸気圧を減らしてしまいます。しかし本来はこの患者は努力性呼吸が強くなっているのであるので、サポートを増やして患者の呼吸仕事量を減らさなくてはならない状況です。
このように、呼吸様式が変化したときに本来すべき判断(サポートを増やす)とは逆の対応(サポートを減らす)をしてしまう恐れがあります。これは呼吸パターンが変化したときの1つの例ですが、このようにPRVCは呼吸様式が変化する患者への使用は注意が必要ですので、あえてこのモードを使用しなくてもよいと考えられます。
以上の事から、あえて適応した状態としては、呼吸様式が安定している自発呼吸(吸気努力)がある患者にある程度安定して一回換気量を送りたいという状況での使用は適応かと思いますが、PRVCでなくてはならないという状況ではないかと思われます。
また、それと同時にこのモードの特徴の理解を医師だけではなく、患者のベッドサイドにいる看護師やコメディカルも知っていることで、患者のモニタリング(呼吸器に提示される数値だけではなく患者の呼吸様式など含め)ができる環境が必要と思われます。
Q、PCV VCVで同調性が大切なのは理解できたが、同調性をどう評価しどう解決するか
人工呼吸器のグラフィック、特に気道内圧波形と流量波形に注目しますが、まず重要なのは 「非同調があるのではないか?」という目で観察しなければ、なかなか見つけにくいということです。また、グラフィックのみでなく、患者の呼吸様式、頸部周囲の筋肉や腹部の動きを観察したうえで 非同調を予測してグラフィックを観察することができます。ここでは①流量による非同調(VCV),②吸気終了のタイミングによる非同調、③PSVで起こる非同調について、どう評価しどう解決するかについて説明させていただきます。
① 流量による非同調(VCV)
流量による非同調はVCVで起こりやすく、気道内圧波形に注目します。気道内圧波形は 図1のように吸気時に下に凹むことでわかります。患者を観察すると、頻呼吸、奇異呼吸、吸気時に呼吸補助筋の使用やあごの挙上がみられることがあります。対処としてはVCVでは患者の呼吸努力の度合を見ながら流量設定を上げることもできますが、患者が要求する一回換気量が設定の一回換気量よりも大きい場合、吸気終了後も吸気努力が持続するとダブルトリガーで2段呼吸がおこることがあります。2段呼吸については②で解説します。
患者の呼吸努力が強い場合は患者の吸気流量が大きいので、吸気流量波形を漸減波から矩形波にすると改善がみられることがあります。また、吸気流量を患者自身が決められるPCVに変更することで同調が良くなることがあります。
図1吸気流量の不足
② 吸気終了のタイミングによる非同調
吸気終了のタイミングによる非同調では、人工呼吸器が吸気相から呼気相に切り替わる際、患者自身の吸気時間と人工呼吸器の吸気時間が大きく異なると非同調が起きます。患者自身の吸気がまだ続いているのに、人工呼吸器の吸気が終了すると、2段呼吸が生じることがあります。図2のように、2段呼吸は流量波形で観察することができます。患者は吸気の途中で人工呼吸器のサポートがなくなるので、早期終了直後に呼吸補助筋を使用することがあります。このような場合は、吸気時間を長くすることが重要であり、VCVでは吸気流量設定を下げるか一回換気量を大きくし、PCVでは吸気時間を延ばします(ただし、VCVの場合は吸気流量を下げることにより逆に非同調が悪化することもあります)。PSVでは吸気終了設定を小さくすることで同調が良くなることがあります(この点については後述します)。
反対に、患者が吸気努力を終了しているのに、人工呼吸器は吸気を続けるために、吸気の終了がおくれることがあります。吸気時間が延長し、呼気時間が短縮することにより、肺の過膨張やミストリガー、プラトー圧上昇による圧損傷が起こる可能性があるため、早急に対処が必要です。患者を観察すると、長すぎる吸気に対して呼気で抵抗しようとするために、吸気の後半で 腹部の呼気補助筋を使用していることが多いです。そのため、吸気時間を短くするために、VCVでは設定流量を上げるか一回換気量を小さくする、PCVなら吸気時間を短くすることになります(ただし、VCVの場合は1回換気量を下げることにより逆に非同調が悪化することもあります)。PCVでは吸気時間の設定をしっかりと行わないと同調が悪くなることがあることを知っておく必要があります。
PSVでは圧サポートが大きすぎる場合にこの現象が起こることがあるので、圧サポートを下げて状態が改善するかを確認します。
図2 2段呼吸
③ PSVで起こる非同調
PSVで起こる非同調について説明します。PSVでは患者の肺/気道の状態が悪い場合に吸気終了の非同調が起こることがあります。吸気終了の非同調は、時定数(患者の呼吸器系コンプライアンスと気道成功の積)と患者の吸気時間の比、そして自発呼吸の強さと圧サポートの大きさの比に影響を受けることを理解する必要があります。つまり患者の吸気時間に対して時定数が長いと吸気終了が遅れやすく、患者の吸気努力の強さに対して人工呼吸器からの圧サポートが大きければ大きいほど吸気終了が遅れやすくなります。
PSV管理中に吸気の終了を調整する方法があります。自発呼吸によってトリガーされた吸気は吸気流量が最大値(トリガー直後)から設定しておいた「一定の割合」まで低下した時点で終了します。この「一定の割合」が「ターミネーションクライテリア」です。この設定値は高ければ吸気時間は短くなり、低ければ吸気時間は長くなります。通常25%-30%がデフォルトとなっており、設定が不適切であれば患者の呼吸苦、不快感、呼吸仕事量の増大を招きます。慢性閉塞性肺疾患の患者では呼気時間を確保するためにターミネーションクライテリアを高く設定し、拘束性障害がある患者では吸気時間を確保するために低く設定します。
以上が同調性に関連する設定項目と、患者に見られる身体初見とグラフィック、対処法になります。
参考文献
1.岡崎智哉、則末泰博 患者-人工呼吸器間の非同調 Intensivist Vol10 (3), 2018
2.Dean
R.Hess, Robert M.Kacmarek, Essentials of Mechanical Ventilation, Third edition,
メディカルサイエンスインターナショナル
Q、NPPVで同調性改善のため、ごくわずかな鎮静は絶対になしですか?やりたくなる症例を経験します。
A:NPPVガイドラインでは、『多くの場合は鎮静は必要とされていないが、鎮静を必要とするケースがあるのも事実』とし、禁止はしていません。ただ、鎮静を行う前にまず行うべきこととして、①鎮静薬を使用せず解決できる問題はないかを検討 ②NPPVの設定が適切かどうかを確認 ③患者とのコミュニケーションの確立 ④患者環境の詳しい説明を行うことを挙げています。
先生がご質問された『同調性の改善』という問題に対しては、問題を人工呼吸器側と患者側の要因に分けて考える必要があると思います。
人工呼吸器側の要因としては、今回のワークショップで皆様が経験されたように、強すぎる圧ならば適正圧の設定、トリガーエラーによるものであれば、リークコントロールやEPAPを調整することで同調性は改善します。また、患者さんのフィジカルアセスメントを通して、頸部補助筋群の使用が目立つようならIPAPが足りていない、腹筋の緊張が強い時は過剰なEPAP、吸気時の呼吸器の送気と患者さんの胸郭運動が一致していないならばRise timeの調整や気道閉塞がある場合はEPAPをあげて気道を開通させることで同調性が改善します。
患者側の要因として、不穏やせん妄はNPPV失敗要因でもあり、生理的原因や身体的苦痛を除去した後に最小限の鎮静を考慮する必要があります。特に、前駆症状の90%は不眠であり、不眠に対する睡眠剤の導入は近年NPPV装着下であれば2型呼吸不全患者でも安全に使用できるとの報告もありますので選択の1つかと思います。しかし、ハロペリドールなどの向精神薬の多用は呼吸抑制、並びに嚥下機能を低下させ、痰詰まりを起こす要因となるので注意が必要です。また、疼痛がある場合は鎮痛が優先となります。NPPVではマスクフィッティングの問題は多く、MDRPU(医療関連機器圧迫創傷)による疼痛や不快な症状への対応も必要です。そして、忍容性の問題があったり、患者に説明を行い、病態管理のために、どうしても強い圧が必要であったり、頻呼吸をコントロールしたい時は鎮静が必要になるかと思います。
ごくわずかな鎮静と書かれてますので大丈夫かと思いますが、自発呼吸を消失させることはNPPV適応から除外されますのでRASSやRamsay scoreなどで評価しながらの投与が推奨されています。日本ではdexmedetomidineの使用が一般的であるようですが、一般病棟で管理される際は、呼吸循環のモニタリングを実施し、挿菅できる体制があるかを把握した上で投与されることをお勧めします。
参考引用文献
1) 日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会編集:NPPVガイドライン第2版、南江堂、東京、2015
坪井知正 齋藤武文 高田昇平他:慢性呼吸不全患者における睡眠薬使用状況および
Q、初期設定として適切な設定(PCの呼吸状態に合わせた)から診断や治療介入を変えることはありますか?
呼吸不全に至った原因の治療をしないと人工呼吸から離脱できません。筋弛緩薬を使用して気管挿管した場合は、自発呼吸が出る前に肺メカニクスの評価をしておくと良いでしょう。ワークショップの実習で学んだように、VCV(矩形波)であれば、コンプライアンス、気道抵抗を定量的に評価することができます。
ご質問のPCVならば、自発呼吸がプラトー圧測定に影響なければ、プラトー圧、PEEP、1回換気量が測定できれば、コンプライアンスが計算(1回換気量をプラトー圧とPEEPの差で割る)により求められます。一方で、気道抵抗は測定できませんが、グラフィックを見ると気道抵抗が高いと吸気も呼気もなかなか基線に返らない波形になります。
少しでも定量化するとしたら、時定数を活用すると下記のような予測ができます。
時定数はコンプライアンスと気道抵抗の積によって求められ、時定数の3倍の時間をかければ、95%は呼息できるとされています。
下記のような、気道抵抗の異なる2つのケースを例に挙げます。
1. コンプライアンス 50 mL/cmH2O、気道抵抗 5 cmH2O/L/秒
時定数50 mL/cmH2O × 5 cmH2O/L/s
= 0.25秒
つまり、3倍の0.75秒たてば、ほぼ呼気が基線に戻るでしょう。
2. コンプライアンス 50 mL/cmH2O、気道抵抗 20 cmH2O/L/秒
時定数50 mL/cmH2O × 20 cmH2O/L/s
= 1秒
この場合は、95%を呼息するには、3倍の3秒間かかりますから、なかなか呼気が基線に戻らないことになります。
これらの情報から見逃していた疾患に気づくこともあるかもしれません。例えば、肺炎で挿管した後に気道抵抗が高ければ痰詰まりはないかとか、COPDの急性増悪で挿管した後にコンプライアンスが低ければ気胸はないかなど疑うことができるでしょう。
また、ARDSの診断のためには、PEEP
5cmH2O以上で評価した血液ガス分析でP/F 300以下であることが必要です。挿管前にNPPVでもしてなければ、挿管後に初めてARDSと診断でき、P/F によって軽症、中等症、重症と重症度分類できます。しかしながら挿管直後よりも、ある程度、時間が経過した後に標準化した設定で評価した方が予後予測において正確であるという報告1があります。スペインで行われた多施設コホート研究によると、中等症から重症ARDSと診断されてから24時間後に標準化した設定(VT 5-8 ml/kg-PBW, SpO2
> 90%を目標にPEEPとFIO2調整)で酸素化を評価した重症度分類の方が院内死亡の予測に優れていました。呼吸状態の評価をする上で、どのような設定かを踏まえて評価することは大切です。
1. BMJ Open. 2015;5:e006812. PMID: 25818272
第6回WS質問の回答 その3~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
㹏
.
抜管後ࡢ管理→㹌㹎㹎Vࠊネࣁࣝࢨ࣮フࠊࡓࡔࡢ࣮ࣟ㹍㸰
前置ࡁࡋ࡚
一般的ࠕ࣮ネࢨࣁ࣮ࣝࣟフࠖ呼ࡤࢀ࡚いࡿࡶࡢࡣ経鼻高流量酸素療法ࡢ事࡛あࡾ英語
࡛表記
high flow nasal cannula(
以ୗ
HFNC)
基準ࢆ㸦欧米࡞ࡾࡲࡍྡ称࡞正式ࡢࡀいう
࡛ࡣࠊ日本呼吸療法医学会ࡲࡍࠋいࡋ࡚
Nasal High Flow Therapy: NHFT
࡚用いࢆ用語
いうࡢࡣ低流量酸素療法いう認識࡛࠾話ࢆ進ࡵ࡚いࡁࡓい思いࡲ
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いࡲࡍ㸧ࠋࡓࡔࡢ
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ࡲࡎ基本的࡞考え方ࡋ࡚ࡣࠕ酸素化ࠖࠕ換気ࠖࠕ事量呼吸ࠖࡢ観点ࡽ評価ࡋ適ษ࡞ࢹ
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低流量酸素療法࣭ࡢ㸱ࡘࡘい࡚࢚ンࢹビࢫࡸ現状ࡢコン
HFNC
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NPPV
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本邦ࡋ࡚管理ࡢ抜管後ࡉࢇࡢ患者ࡢ増ᝏ
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必要ࡿࡇࡀ図ࢆ軽減ࡢ呼吸事量ࡼࡿ補ຓࡢ換気ࡃࠊ多ࡀ場合ࡿいࡋ࡚混在ࡀ病態ࡢ
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いࡓ時ࡢ人工呼吸器ࡼࡿࢧࢺ࣮࣏ࡣࡢ程度必要࡛あࡗࡓ࡞ࢆ加味ࡋࡓୖ࡛導入ࢆ
࡛管理ࡋࡓ方ࡀ再挿
HFNC
ࢆ比較ࡋ࡚抜管後
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NPPV
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いう文献㸦ࡋࡓ減少ࡀ管率
PMID
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27706464
࡛ࡣ研究ࡾࡲࡍࡀࡇࡢあࡶ㸧
NPPV
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Q9.気胸を起こして 胸腔ドレーンが入っている人の呼吸器設定で配慮すること
全ての人工呼吸患者に、圧損傷、つまり気胸を引き起こすリスクがあります。
気胸患者に陽圧換気を行うことは、気胸にとっては良くなさそうな感じがしますよね。空気は圧格差で流れますので、気胸を悪化させないためにはできる限り胸腔内圧と肺胞内圧の圧格差、つまりは経肺圧を小さくする必要があります。そのように考えると気胸を悪化させる要因としては肺胞内圧の上昇と陰圧呼吸に分けられることになります。つまりは、自発呼吸による陰圧と肺胞内にかかる陽圧によって、肺胞が進展することで経肺圧が上昇し、リークがより増えることが考えられます。
気胸を起こして 胸腔ドレーンが入っている患者の人工呼吸器設定では、必要以上に肺胞内圧を上げないことを心がけるべきです。必要があれば自発呼吸による陰圧呼吸を抑える必要がある場合があります。患者さんの状況に応じての対処になるので、一概には対処方法を規定することはできないのですが、以下にいくつかの選択肢を示します。
●肺胞内圧を下げる
① 換気圧(換気量)を下げる
最初に検討すべきです。VCVでは換気量を、PCVでは吸気圧を設定しますが、可能な限り肺胞内圧を低くするよう心がけます。しかし、換気量が減少することにより陰圧呼吸が強くなる可能性があるので注意を要します。
② PEEPを下げる
換気圧(換気量)を下げることと同様に肺胞内圧を下げられそうですが、PEEPを下げると肺胞の虚脱が起こる可能性があり、低酸素血症では酸素化との兼ね合いになります。
③ 呼吸回数を抑える
高い圧のかかる頻度を減らすために、呼吸回数を少なく設定する場合があります。しかし、そのために1回換気量は増えるなら本末転倒ですので、実際には難しいかもしれません。
自発呼吸患者では、後述するように鎮静を行うこともあるでしょう。
④ 吸気時間を短くする(PSに変更することも含みます)
不要なプラトー時間を設定しないようにします。吸気時間を短く設定し、肺胞へ高い圧のかかる時間を減らすようにします。
●陰圧呼吸を抑える
① 自発呼吸を抑える(鎮静)
人工呼吸の設定ではありませんが、設定をいくら調整しても、自発呼吸努力が大きいと、経肺圧が上昇し、なかなかリークがおさまらない可能性があります。必要に応じて深鎮静にすることも検討します。
繰り返しになりますが、どの方法から行うのかは患者さんの状況次第であるので、経肺圧を最小限にすることを念頭におきながらその患者さんにベストな方法を考えてみてください。
Q10.ECMOの適応に関して
循環不全ではなく、呼吸不全に対するECMOの適応ということでお答えいたします。
まずは、代表的なRCTの組み入れ基準を見てみましょう。CESAR trialでは「65歳以下で、人工呼吸期間が7日間未満、可逆的な呼吸不全」で、低酸素血症(少なくともMurray score > 2.5)やpH < 7.2の高二酸化炭素血症です。EOLIA trialでは「人工呼吸期間が7日間未満の中等症および重症ARDS患者」に対してPEEP 10 cmH2O以上でVt 6ml/kg以下で人工呼吸管理を行い、さらに筋弛緩薬や腹臥位療法などの治療も推奨しました。その後もP/F < 80が6時間以上もしくはP/F < 50が3時間以上持続する低酸素血症の場合、またはpH < 7.25かつPaCO2 > 60が6時間以上持続する高二酸化炭素血症の場合を対象にしております。
なかなか難しいのですがざっくりと言うと、「通常の人工呼吸管理では管理困難な呼吸不全で、可逆的な状態」です。具体的にはインフルエンザH1N1が流行した時に呼吸不全のECMOが脚光を浴びましたが、このようなウィルス性肺炎では良い適応だと思います。
呼吸不全ECMOの生存予測スコアとしてresp scoreがありますが、ウェブサイトで簡単にスコアリングができますので、ECMO検討時に一度参照しておくと良いと思います(http://www.respscore.com)。
年齢、人工呼吸期間、呼吸不全の原因、ECMO前の治療内容などによりスコアリングされます。このような項目が多く該当し、予測死亡率が高い場合はECMOの安易な導入を避けたほうが良いでしょう。
私たちの施設では厳密な基準は設けておりませんが、これまでに低酸素血症に対するECMOを行ったことがある症例は、市中感染による呼吸不全(細菌性、インフルエンザウィルス)、感染症以外ではANCA関連など改善が期待できる病態です。中にはECMO開始後にBALを行ったこともありましたが、原因を可能な限り特定し、肺移植がそう簡単に行えない現状では、原因疾患が治療できることが大切です。
肺炎球菌肺炎を例にあげると、抗菌薬で肺炎球菌はいなくなっても、ダラダラびまん性肺胞障害が持続するような場合に人工呼吸でさらなる肺損傷を起こさないように、ECMOで時間稼ぎを行うイメージです。数字を出すのは難しいですが、筋弛緩薬を使用し、Vt 6mL/kg-PBW以下、PEEP反応性がある症例ならば15-20 cmH2O程度で管理して、翌朝まで改善が得られない場合に考慮、やるなら翌々日までには導入しようと思っています。そう心がけても、私たちの施設では1年間に1-2例ECMOを使用するかどうかです。当然、施設間の違いは大きいと思いますが。
Q11.自施設では抜管の際、厳密なSBTは行っておらず、上級医の判断によるところが大きいです。SBTをしない理由を尋ねたところ「SBTにもよしあしがあるからね」と言われました。SBTで評価不十分になる点があるのでしょうか?
過去の研究では、主治医たちの診療による呼吸器離脱やSIMVやPSを徐々に減らしていく離脱より、SBTでの評価のほうが人工呼吸期間を短縮することが報告されています。
上級医の反論としてはいくつか考えられますが、まず、これらは2000年以前の報告ですので、その頃とは管理が違うと言うこともあるかもしれません。
人工呼吸の目的は「酸素化、換気、呼吸仕事量」でしたので、ざっくり言うと、
PEEPを下げても酸素化を維持できるか、駆動圧を減らしても換気が維持できるか、それらの設定で呼吸仕事量がなんとかなるか見極めることができれば、必ずしもSBTにこだわる必要はないかもしれません。また、SBT失敗した原因が解決できていないのにいたずらにSBTを繰り返しても患者の不快を増すだけでしょう。
多くの施設ではSBTといえば、PEEP 5cmH2O + PS 5cmH2Oのようなお決まりの設定があるのかもしれませんが、すごく痩せているおばあちゃんでは過剰なPEEPになるかもしれませんし、挿管チューブが細めである場合はチューブ抵抗を補うPSが足らなかったりするかもしれません。最低限の呼吸器設定というのは確立したものはありませんし、個々の患者で異なるのは事実です。
しかしながら、初学者やコメディカルには常に同じ設定で評価するほうがわかりやすいと思います。挿管後の初期設定はある程度、統一することで重症度が評価しやすくなるでしょうし、抜管前の設定も統一することでやはり抜管後の呼吸不全リスクの評価もしやすくなるでしょう。これらに習熟した上級医には不要かもしれませんが、なかなか上級医の判断基準を言語化して共有するのは難しいように思います。診療の標準化という意味では個人的には統一できるところは統一したほうが良いと思うので、SBTのような普及している方法で標準化を図るのは一つの解決策でしょう。少なくとも当院では全症例でSBTを行なっております。
SBTしなくてもいいかなという具体的な状況としては、特に合併症のない待機的手術の抜管やSBTに複数回失敗して人工呼吸期間が長期化しており、気管切開して徐々に離脱を図る場合でしょうか?前者では分な覚醒が得られれば抜管できるでしょうし、後者ではPSVで徐々にPSを減らしていったり、1日1回30分程度人工呼吸を外してみて、徐々にその時間を延ばしていく方法(On-Off法)で離脱を試みたりしています。
第6回WS質問の回答 その2~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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Q6.抜管後にどのような基準でNPPV、ネーザルハイフロー、ただのO2 の3つを使い分ければよいのか?
(※実際の質問は『抜管後の管理→NPPV、ネーザルハイフロー、ただのO2』でしたが、質問者のお悩みは上記の内容と推察し、お答えします)
前置きとして…
一般的に「ネーザルハイフロー」と呼ばれているものは経鼻高流量酸素療法の事であり英語表記でhigh flow nasal cannula(以下HFNC)というのが正式な名称になります(欧米を基準としています。日本呼吸療法医学会では、Nasal High Flow Therapy: NHFTと用語を用いています)。ただのO2というのは低流量酸素療法という認識でお話を進めていきたいと思います。
まず基本的な考え方としては「酸素化」「換気」「呼吸仕事量」の観点から評価し適切なデバイスを使用していくということが重要になってきます。
これを踏まえた上で、NPPV・HFNC・低流量酸素療法の3つについてエビデンスや現状のコンセンサスについてお話をさせていただきたいと思います。
まず NPPVはCOPD増悪の患者さんの抜管後の管理として本邦NPPVガイドライン上の推奨度はAとなっています。これは、COPDは気道抵抗の上昇とエラスタンスの低下という2つの病態が混在している場合が多く、換気の補助による呼吸仕事量の軽減を図ることが必要となります。患者さんの病態と原疾患のコントロールがどの程度図れているのか、挿管していた時の人工呼吸器によるサポートはどの程度必要であったかなどを加味した上で導入をすることが求められます。その他、NPPVとHFNCを比較して抜管後HFNCで管理した方が再挿管率が減少したという文献(PMID:27706464)もありますがこの研究ではNPPVを導入した際の忍容性の低さも指摘されており適切な患者さんに適切な使用方法をすればHFNCより劣っているというわけではないと考えられます。ですのでNPPVを使用する際は「ワークショップで学ぶ人工呼吸」のNPPVの部分でお示しした適応と禁忌を照らし合わせて使用を検討し、抜管後の管理においては治療的効果を期待するのではなくあくまでも予防的に使用するというのが必要な考え方となります。そこで重要なのは、“必要な患者さんに必要なでデバイスを”という考え方が重要であり、何でもかんでも呼吸管理デバイスを使用すれば良いわけではありません。NPPVも予防的とはいえ、呼吸仕事量をしっかりと評価して必要な患者さんに使用することが重要です。
次にHFNCですがガイドラインとして提唱されているものは現状ありません。閉口した際にPEEPがかかるなどの報告もありますが、患者さんの気道の状態・開口しているか・流量によってかなりばらつきがあるので、あくまで酸素療法の一環として捉えた方がよいでしょう。一般的な酸素投与と呼ばれるものが低流量酸素療法と言われるのに対し、高流量酸素療法はHFNCやベンチュリ―マスクなどの安定したFIO2を提供出来るもの、患者の吸気流量を上回る吸入ガスを供給できるシステムを指します。
HFNCは流量を規定できるため努力様・頻呼吸となっており、吸気流量が増加している患者さんにも安定した酸素濃度を供給することが可能です。換気の部分ではサポートを加えることは出来ませんが、上気道の死腔をウォッシュアウトしてくれるなどの効果も示唆されていますので、呼吸仕事量を軽減できる可能性があります。また、加温加湿効果に優れているので、抜管後、喀痰が固く出しにくいなど気道のクリアランスを図ることが必要な患者さんにも有用であると言えます。HFNCは鼻にカニューレをつけるだけという手軽さ、患者さんの不快感がNPPVに比べ少ないという事から導入しやすいデバイスであるので「とりあえず使用してみる」傾向があるのではないでしょうか?しかし、使用する前に換気のサポートは出来ない、PEEP効果は期待できないという事を考えることが必要です。その点を理解した上で、利点が患者さんに有効だと判断した場合は使用をお勧めしますが、コストも高いので闇雲に使用することは避けた方が良いことを認識しておいてください。
最後に「ただのO2」ですが、先述した低流量酸素療法であるという認識の下お話いたします。質問者様のおっしゃる通り、「ただのO2」なので、ガス交換の観点から抜管後、酸素化に懸念がある患者さんへ使用をしていただければと思います。ですが、使用する際は「されどO2」であるということを思い出していただければと思います。「ワークショップで学ぶ人工呼吸」の中でもお話した通り、酸素化の指標は現在Titrated Oxygen therapyが推奨されている傾向にあります。これには2つの理由があります。1つは「SpO2を低めに管理しないといけない」というよりも「過剰な酸素投与を避ける」管理が必要であるということを示唆しています。トレンドでモニタリングできるSpO2は100%以上の数値は測定できません。そうすると動脈ガスを測定するまでPaO2の変化に気付けない危険性があります。2つ目は酸素毒性の観点です。不必要な酸素の提供は避け、至適な酸素濃度を決定し管理することが推奨されています。ですので、抜管前の酸素化をしっかりと評価して、抜管後にどれくらいの酸素流量・酸素濃度が必要か決めておくことが必要です。抜管後だからと言ってルーティンに”マスク5L/min”などの指示は出さないようにしてください。Titrated Oxygen therapyを心がけていただければと思います。
まとめますと、抜管後の管理においてのポイントは「ワークショップで学ぶ人工呼吸」の中でもお話した通り、患者さんの何に懸念があるか?という事に着目して考えることが必要となります。ですので「酸素化」「換気」「呼吸仕事量」のどこに異常があるのか?という部分に着目してNPPVにするのか、HFNCにするのか、低流量酸素療法にするのかを選択していただければと思います。
Q7.ウィニング中、良眠を保ちつつウィニングできる夜の設定はありますか
夜間の人工呼吸器設定についてはPSVモードとACモードを比較した研究やPSVモードとPAVモードを比較した研究などがありますが2018年9月に改訂されたPADISガイドラインには明確な設定について現状、明確な推奨は示されていません。
考え方として必要な事は、「患者さんがいつ寝ているのか」を見極め「寝ているときに不快にさせないような設定にする」という2点がポイントになってくると考えています。
まず「寝ている時に不快にさせないような設定にする」という点ですが、基本的な考え方に基づき「酸素化」「換気」「同調性」を意識した設定を行っていただければと思います。寝ている間に特に意識していただきたいのは患者さんの呼吸仕事量です。呼吸仕事量の増大は不快感をもたらし睡眠を妨げるのはもちろんのこと、酸素需要の増大や呼吸筋疲労を起こしウィニングを妨げる要因となりうるので注意が必要です。
ここまでは基本的なモードの選択、設定の考え方と同じです。ですが、人工呼吸器装着患者さんはベースの疾患によって呼吸中枢や心臓・肺に何かしらの影響が出ており、呼吸パターンや呼吸回数になんらかの変調をきたしている場合があります。入眠している際は無意識下に呼吸回数やパターンをコントロールしているので、より顕著に変化が現れやすい状況となっています。入眠している際のみチェーンストークス呼吸などの異常が現れる患者さんには覚醒時と違う設定が必要となってくる可能性があります。よって、睡眠中の呼吸パターンや呼吸回数を把握し評価した上で基本的な酸素化・換気・同調に基づいて設定を行っていくことが必要です。
また「いつ寝ているのか」という点ですが、重症の患者さんはサーカディアンリズムが健常な人とは異なっていることやICUや一般病室に滞在していることで日中に日光を浴びることが出来ないなどが影響し、メラトニンの生成が抑制され「夜だから眠くなる」という現象が起きない可能性があります。また、その患者さんの個人的な因子、例えば「もともと夜勤しかやってこなかったので健康な時も日中寝ていた」などの元々の生活リズムや「高齢者」である事などの患者さんの生活歴や年齢などの個別の情報も考慮し判断する必要があります。つい医療者は「寝てほしい時間」を夜間と考えてしまい鎮静をかけてしまいがちですが、鎮静=睡眠ではないということも踏まえて「患者さんが眠い時間」に睡眠時間を確保する配慮をし、その際に呼吸器設定を検討するという管理が理想的なのではないかと思います。
私たち医療者は患者さんに集団生活を強いているということを忘れてはいけないのではないでしょうか?「朝、出勤したから患者さんを起こしてとりあえずSBTの設定にしてみよう。ウィニングを進めてみよう」ということをするのではなく、「患者さんが起きた」から抜管に向けての準備をすることを説明した上でSBTやウィニングを進めていく、寝ている時間は決してがんばらせすぎないことが大切であると思います。もちろん、こちらの認識とは異なり、患者さんの呼吸仕事量に余力があるのに、医療従事者が石橋を叩いて渡りすぎており、余計なサポートを与えている可能性があることも認識しておく必要もあります。“頑張らせすぎず、楽にさせ過ぎず”適度に管理することが重要です。
まとめますと、ご質問への回答としてはウィニングに適したモードや設定は、患者さんの眠りを邪魔しない、がんばらせすぎないものであればどのようなモード・設定でもよい、あくまでも基本的な設定の概念に基づいて行うというのが回答となります。
Q8.ARDSが改善せず、ウィニングがすすまない長期化している人のウィニングのしかた
人工呼吸器離脱についてはその進み具合により①最初のSBTで人工呼吸器から離脱可能(Simple weaning)、②3回までSBTが必要、もしくは、SBT成功まで最初のSBTから最大で7日が経過している場合(Difficult
weaning)、③4回以上SBTが必要、もしくは、最初のSBTから7日以上経過してもSBTが成功していない場合(Prolonged weaning)のように分けられています(1).このような呼吸器離脱が進まない患者については、原因の検索とその対応をすることがまず第1となります。ARDS経過中の輸液投与量が増えている場合や胸水が貯留する場合など、肺胸郭コンプライアンス低下により呼吸仕事量が増える原因などのように治療可能な原因がありそうであれば、まずそちらを補正します。いわゆる呼吸仕事量が増えている状態(細い、硬い)の場合がこちらに相当します。
一方で、“弱い“という観点から見れば、呼吸器装着が長期化している患者は筋力低下をきたしている方がおり、四肢体幹筋や横隔膜筋力が低下していることがありますので、第2としてリハビリテーションによる運動療法実施(継続)となります。これに合わせて呼吸器離脱のための試みも実施します。方法としては、on-off法やプロトコルを用いて呼吸器補助を漸減するものです。
筋力が低下している患者にはon-off法よりもプロトコルを使用する方がよいと思います。長期人工呼吸管理となった患者へのプロトコルについてはTips protocolという方法が紹介されています(2)。このようなプロトコルを用いることで呼吸器離脱までの期間は短縮されるとされていますが、呼吸器離脱できる患者の割合は変わらないとされています。よって、どのような方法でも構わないと思いますが、しっかりとリハビリテーションも合わせながら呼吸筋力トレーニングを行うという意識を持つことが重要だと思います。
肺や胸郭のコンプライアンス低下や気道抵抗のような呼吸に関わる負荷と呼吸筋力の相対的なバランスを検討するとともに、漸減した計画を立て(プロトコル化)して患者に関わるチームで実施することです。ただし、呼吸器装着が長期化したすべての患者が呼吸器を離脱できるとは限らず(3)、ある程度の限界もあるというところも念頭に置いておくことです。
1:Boles JM. Et al.Waening from Mechanical
Ventilation. Eur Respir J. 2007,1033–1056
2:Scheinhorn DJ et al. Outcomes in post-ICU
mechanical ventilation:a therapist-implemented weaning protocol. Chest 2001. 236-42.
3: Damuth E et al. Long-term survival of
critically ill patients treated with prolonged mechanical ventilation: a
systematic review and meta-analysis Lancet Respir Med
2015. 544–53
第6回WS質問の回答 その1~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Q1.トラブルシューティングの観点、人工呼吸管理の点からPCVよりもVCVの方が管理しやすそうではあるのですが、それでもPCVを利用されるのは同調からの視点でしょうか?
ご質問の通りで同調性の観点でPCVが選択されることが多いと思います。ただし現在EBMにおいてはPCVでもVCV予後はかわらないと報告されており、モードよりもどういった管理をするかが重要で、管理に応じた選択ができることが我々に求められます。とりあえずPCVといったような管理は避けなければなりません。今回は同調性について少し説明を加えます。
まず、トラブルシューティングの観点では、VCVの方がPCVに比較して変化を早期に捉えやすいためになります。機械側に異常がない条件下であれば、変化は肺胸郭コンプライアンス&気道抵抗などの肺メカニクスに左右されます。コンプライアンスはml/cmH2Oと表記されますので、コンプライアンスが変化(低下)した場合、VCVでは圧力の変化で現れ、PCVでは換気量の変化で現れます。換気量は1回換気量のアラーム設定もありますが、多くの機械は分時換気量のため少し時間的な遅れが生じてしまいます。逆に圧力の変化は呼吸毎に表示されるためトラブルシューティングの観点では好まれます。またPCVでは気道抵抗の測定はできす圧波形は常に一定を示すため患者の変化を反映しにくくなるため、VCVの方が評価には優れ、VCVで漸減波を使用すると圧は意外と上がりにくく管理が可能です。管理上VCVではコンプライアンスの変化に伴う変化を捉えやすいと同時に肺メカニクスにおいて、肺胸郭コンプライアンス&気道抵抗の評価が客観的数値で確認出来る点(吸気ポーズ)においても管理しやすくなります。又、換気量が過剰に送気されてしまうような場合制御することが可能である点(血液ガスの調整)もVCVの方が管理しやすい点として挙げられます。また経肺圧コントロールはVCVの方が可能となります。
次に人工呼吸器の管理では、自発呼吸を認めると吸気流速や吸気の時間は状態によって大きく変化&異なります。その場合一定の吸気流量の設定(VCV)では吸気流量不足や、ファイティングなどによる過剰な圧変化に繋がってしまいます。その点PCVでは吸気流量が呼吸毎に(設定圧を目的に送気するため)変化する点が同調性に優れ、好まれる理由だと考えます。(図1)ただし呼吸様式の評価を行いながら調整をすることが重要であり、不適切な圧での管理は呼吸仕事量が軽減につながらなかったり、逆に増加を招いてしまうため注意が必要です。(人工呼吸器離脱の講義にあったように最近では浅鎮静管理が推奨されています1)2)。=全身の状態によるかと思いますが)
1)Efficacy and safety of a paired
sedation and entilator weaning protocol for mechanically ventilated patients in
intensive care (Awakening and Breathing Controlled trial): a randomised
controlled trial; Lancet.2008;371:126-34 PMID:18191684
2)Sedation
depth and long-term mortality in mechanically ventilated critically ill adults:
a prospective longitudinal multicentre cohort study; Intensive Care Med,2013
May;39(5):910-8 PMID:23344834
図1: 自発呼吸出現時のイメージ図
自発呼吸
㹏
.
ࢺラࣈルシューテンࢢࡢ観点ࠊ人ᕤ呼吸管理ࡢ点ࡽ
PCV
ࡼࡾࡶ
VCV
やࡋ管理ࡀ方ࡢ
ࢆ利用ࡉࢀࡿࡢࡣ同調ࡽࡢ視点࡛ࡋࡻう?
PCV
ࡍそう࡛ࡣあࡿࡢ࡛ࡍࡀࠊそࢀ࡛ࡶ
࡛観点ࡢ同調性ࡾ࡛通ࡢ質問ࡈ
PCV
現ᅾࡍࠋࡓࡔࡋ思いま多いࡉࢀࡿࡇࡀ選択ࡀ
EBM
࡚ࡣい࠾
PCV
࡛ࡶ
VCV
管理ࡗࡓࢻういࡼࡾࡶーࡉࢀ࡚࠾ࡾࠊ報告ࣔいࡽ࡞わࡣ予後
PCV
ࢆࡍࡿࡀ重要࡛ࠊ管理応ࡌࡓ選択ࡀ࡛ࡁࡿࡇࡀ我々求ࡵࡽࢀまࡍࠋࡾあえࡎ
いࡗࡓࡼう࡞管理ࡣ避ࡅ࡞ࡅࢀࡤ࡞ࡾまࡏࢇࠋ今回ࡣ同調性ࡘい࡚少ࡋ説明ࢆ加えま
ࡍࠋ
࡛ࡣࠊ観点ࢢࡢンラࣈルシューテࡎࠊまࢺ
VCV
ࡀ方ࡢ
PCV
捉え早期ࢆ変化ࡋ࡚比較
ン肺胸郭コンࣉラࡣ変化ࢀࡤࠊあ࡛い条件ୗࡀ࡞異常機械側ࡍࠋまࡓࡵ࡞ࡾいࡍや
表記ࡉ
ml/cmH2O
ࢫ気道抵抗&࡞ࡢ࣓肺࢝ニࢡࢫᕥ右ࡉࢀまࡍࠋラࣉコンンࢫࡣ
PCV
࡛ࡣᅽ力ࡢ変化࡛現ࢀࠊ
VCV
ࢀまࡍࡢ࡛ࠊラࣉコンンࢫࡀ変化㸦低ୗ㸧ࡋࡓ場合ࠊ
ࡣ換気量ࡍࠋまࢀ現࡛変化ࡢ換気量࡛ࡣ
1
機ࡢ多くࡍࡀࠊまࡾあࡶラー࣒設定ࡢ回換気量
械ࡣศ時換気量ࡢࡓࡵ少ࡋ時間的࡞遅ࢀࡀ生ࡌ࡚ࡋまいまࡍࠋ逆ᅽ力ࡢ変化ࡣ呼吸毎
ࡓまࡍࠋまࢀ好ま࡛ࡣ観点ࢢࡢンラࣈルシューテࡉࢀࡿࡓࡵ表示ࢺ
PCV
測ࡢ気道抵抗࡛ࡣ
࡞ࡿࡓࡵࠊくくࡋ反映ࢆ変化ࡢ患者ࡍࡓࡵ示ࢆ一定常ࡣᅽ波形ࡣ࡛ࡁࡍ定
VCV
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ࢀࠊ優ࡣ価
VCV
管理ୖ࡛ࡍࠋ可能ࡀくく管理ࡀࡾୖ意外ࡣᅽࡍࡿ使用ࢆ漸減波࡛
VCV
࡛ࡣラࣉコンンࢫࡢ変化伴う変化ࢆ捉えやࡍい
࡚ࡶ管理ࡋやࡍく࡞ࡾまࡍࠋ又ࠊ換気量ࡀ過剰送気ࡉࢀ࡚ࡋまうࡼう࡞場合制御ࡍࡿࡇ
ࡢ方ࡀ管理ࡋやࡍい点ࡋ࡚挙ࡆࡽࢀまࡍࠋまࡓ
VCV
ࡀ可能࡛あࡿ点㸦血液࢞ࢫࡢ調整㸧ࡶ
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VCV
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大ࡁく変化&異࡞ࡾまࡍࠋそࡢ場合一定ࡢ吸気流量ࡢ設定㸦
VCV
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1
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Sedation depth and long-term mortality in mechanica
lly ventilated critically ill adults: a prospective
longitudinal multicentre cohort study
㸹
Intensive Care Med,2013 May;39(5):910-
8
PMID
㸸
23344834
Q2.機能的残気量とエアトラッピングは質が違いますか、量が違う?圧が違いますか?
機能的残気量(FRC)とは胸郭の拡張圧と肺弾性収縮圧とが釣り合った気量位であり(図1)、安静呼気位(EEP)によって決まります。EEPでは肺と胸郭の圧格差がなく、呼吸に要するエネルギーを必要としません。すなわち、呼吸仕事量が発生しない状態であると言えます。また、FRCは残気量(RV)と予備呼気量(ERV)からなり、肺気量分画の構成成分となります。
エアトラッピングとは、肺弾性力減少や末梢気道の狭窄等により吐き切れないことで肺に空気が残ることを言い(残気量の増加)、肺弾性収縮圧が低下します。よって、図1にある肺の圧量曲線が左方に偏位する事でFRCは上方に移動し、増加します。 以上のことより、ご質問への回答としましては、エアトラッピングは肺気量分画においてRVの増加であり、FRCに含まれます。よって似ている、とは思いますが“似て非なるもの“であり、正常の肺気量分画と比べFRCは増加するため『量』が違います。また、FRCの増加は全肺気量(TLC)により肺活量(VC)にも影響を及ぼし、換気量の低下を招きます(図2)。そして、肺弾性収縮圧の低下は胸腔内圧を陽圧側に偏位させますので、EEPにおいて胸腔内圧が正常より高くなります。
今回のワークショップでは、エアトラッピングを圧の変化としてAutoPEEP(内因性PEEP)について学んでいただきましたが、こちらは、気道内圧や換気量からは捉えることのできない終末呼気時の胸腔内の異常な陽圧であり、呼気終了時に呼気回路を閉塞すること(呼気ポーズ)によってその『圧』を測定し、改善方法を皆様に考えていただきました。よって、圧は結果であり、原因ではない、というところで「量」に注目してもらえれば良いかと思います。
図1)肺・胸郭圧量曲線 1)
図2:種々の疾患に伴う排気量分画 1)
引用文献
1)肺機能セミナー編.臨床呼吸機能検査第6版. 東京: 日経印刷株式会社; 2007
P35-42
Q3.autoPEEPは完全に0にすべきか
Auto PEEPは、ミストリガーや呼吸仕事量を増加させるだけでなく、高度になるとBarotraumaや有効換気量低下を生じやすくなります。また、胸腔内圧が上昇するため、静脈還流量の低下や肺血管抵抗の増加による右室後負荷を増加させます。そのため、基本的にはAuto PEEPは完全に0にすべきです。
しかし、様々な状況においてAuto PEEP 0を目指すことが難しい場合があるのも事実です。完全なるAuto
PEEP 0を目指すか否かはまさに“時と場合による”というのが答えとなります。さらにそれはVCVで管理している時とPCVで管理している時で状況は異なります。VCVで管理している時はBarotraumaのリスクがとても高くなり、時には胸腔内圧上昇による心停止に至る場合もあり、最大限に注意を要します。個人的にはVCVで管理をしている際には絶対にAuto PEEP 0を目指すべきだと考えています。一方でPCVの時にはその状況は多少有用があると考えています。講義でも取り扱いましたが、PCVの時には有効一回換気量が低下し、Barotraumaの程度はVCVほど重篤ではないと思われます。よって、PCVの際には、同調性が保たれており呼吸仕事量増加を認めないこと、循環動態が安定していることを確認し、Auto PEEP0付近であれば許容することもあります。しかし、“やれることをやったのち”というのが大前提であることを理解しておく必要があると思います。常に、呼気時間を確保することのリスクとAuto PEEPが生じていることのリスクを天秤にかけながら判断する、臨床能力が必要とされることを忘れてはいけません。
なお、Auto PEEPは気管内チューブの圧迫や屈曲、サイズが小さい場合や気管チューブ内の分泌物付着により生じる場合があることを留意し、これらも評価し、必要に応じて分泌物の除去や適切な気管内チューブの交換を行うことを考慮します。
Q4.経肺圧を測定する時、した方がいい時に関して
とても難しい質問ですね。経肺圧モニタリングできるのであればいつでもモニタリングしたい、というのが本音ですが、経肺圧モニタリングには複数の問題点が残されています。まず1点目として、経肺圧を正しく測定する手段がない、ということが挙げられます。胸腔内圧が測定できれば経肺圧を計算することができるわけですが、現在臨床で使用されている食道内圧であっても胸腔内圧を正しく反映できているわけではありません (詳細はかなり複雑な解説となるので割愛します)。2点目は食道内圧モニタリング技術的側面です。食道バルーンにより食道内圧を測定するにはある一定の技術が必要となります。かつ1本2万円を超える高額なバルーンを使用しなければならず、コスト面でも気軽に手を伸ばせる手段でもありません。そして3点目としては、現在までのエビデンスでは、食道内圧モニタリングによって患者予後改善をもたらした大規模研究はまだ報告されていません。技術的側面やコストの問題を考慮するとなかなか手を出せないのが現状です(回答者の施設では経営者に納得してもらえるだけの根拠を示せていないのが現状です)。
しかし、経肺圧上昇が患者予後に与える影響は大きいことが予想されるので、簡便かつ正確にモニタリングできて、かつ目標値があれば測定の有用性がとても高いと思っています。前述の理由から全例にモニタリングするには無理があるので、“測定することによって患者さんの予後に影響を与えそうな場合“に測定したいというのが答えになるかと思います。ではそのような場合をどのようにして判断するか、ということが問題となりますが、コンプライアンスが低下している肺で管理中にPEEPが上昇し、高いプラトー圧になりそうなことが予想でき、かつ、強い吸気努力をしている場合には肺胞に負荷がかかっていることが危惧されるため、患者予後に影響を与えるのではないかなと判断します。定量的に測定できるものではないのである程度は経験的になってしまいますが、患者さんの強い吸気努力=呼吸仕事量をしっかりと評価することが何よりも重要で、経肺圧測定の有用性を示せる状況なのではないかと考えています。
Q5.抜管の際に急性期のvolume overによる体重増加が抜管の妨げになることがありますが、具体的な除水の基準があれば教えてください
とても臨床的でプラティカルな質問ですね。人工呼吸管理に関するご質問ですので、どれくらい除水できたら抜管可能か、というご質問であるという前提で回答致します。
答えは、どれくらい除水できたか、ではなく、どれくらい呼吸仕事量があると見込めるか、になると思います。
1. 患者の呼吸仕事量の余力(いわゆる“細い”、“硬い”に比してどれくらい“弱い”のかのバランス)
2. 除水の手段の有無(単に利尿薬を投与すれば良いのか、透析カテーテルを挿入して透析で除水をしなければならないのか)
3. NPPVの禁忌ではないか
など多くの要素が絡み合います。
例えば、10Lのプラスバランスであったと仮定します(3日間の経過くらいのイメージです)。透析患者であり自尿がない、かつ、呼吸筋萎縮が顕著であり、呼吸仕事量に余力がない、という場合は極力除水してから抜管するかもしれません。逆に、同じ10Lのプラスバランスであったとしても、40歳でとても元気、呼吸筋もかなり余力がある、という場合には抜管して除水を強化するかもしれません。ということで、安全な除水量の域値は決まっていないと思います。
とは言え、ある程度の基準はないのか、という質問をいただきそうなので、個人的な見解であることを前提としてコメントすると、8-10L程度残っているのであれば多少は気にかけますが、基本的にはSBTに成功することを必須として、あとは水が戻ってきた場合に呼吸仕事量が耐えられるか、という視点で評価します。問題なさそうであれば抜管しますし、上記のような懸念があればもう一日待ちます。また、NPPVで1-2日粘れば凌げそうな場合にはあまり懸念せずにより早めの抜管を考慮することもあります。
個人的な印象ですが、多くの医療従事者は石橋を叩いて渡る方が多い印象です。SBT同様、患者さんには余力が残されている場合も多いですので、我々医療従事者は患者さんのその力を過小評価してはいけないのではないか、と考えています。もちろん、過大評価してもいけませんが…。
㹏
.
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ࡍ
第5回WS質問の回答~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Q1.「呼吸回数が増加しても、呼吸仕事量がそれほど増加しない」ということでしたが、「呼吸仕事量」と定義するような因子は何がありますか?
まず呼吸仕事量を増加させる要因についてですが、これは気道抵抗の上昇、コンプライアンスの低下、一回換気量の増加があげられます。呼吸仕事量とは、呼吸をするのに使用する肺や胸壁を動かす労力のことです。
人工呼吸器(定流量)による呼吸仕事量ですが以下の式で表すことができます。
呼吸仕事量= (PIP-0.5×Pplat) ×Vt
100
※PIPを最大吸気圧、Pplatをプラトー圧、Vtを一回換気量としています。
ここから言えることは定流量下の場合、最大吸気圧、プラトー圧と一回換気量が呼吸仕事量の上昇につながるとこいうことが分かります。最大吸気圧は気道抵抗が上昇した場合とコンプライアンスが低下した場合(プラトー圧の上昇)が示唆されるのはワークショップの講義の中でお話していると思います。
よって呼吸仕事量の増加に関わる因子として、
1.コンプライアンスの低下
2.気道抵抗の上昇3.一回換気量の上昇
があげられます。
ですが、この3つの因子が変化すると必ず呼吸仕事量に影響するのかというとそうではありません。それはなぜでしょうか。「呼吸回数が増加しても、呼吸仕事量がそれほど増加しない」のはなぜか?という問いにお答えすることでこの疑問は解決すると思います。
呼吸回数の増減の要因は換気応答や呼吸様式によるものもありますが、気道抵抗、コンプライアンスにも左右されます。例えば、一回の呼吸が深くゆっくりとなると弾性抵抗に対する仕事が増加します。そうすると呼吸回数を減らすことで呼吸にかかる仕事量を最小限にしようとします。逆に呼吸が早くなり抵抗に使用される仕事が多い場合は弾性抵抗に使用される仕事量は少なくなります。
まとめますと、各呼吸の仕事量の増加の因子はコンプライアンスの低下、気道抵抗の上昇、一回換気量の上昇と言えますが、これらの因子が上昇した場合も呼吸回数を増減させることで呼吸仕事量を最小しとどめようとする恒常性が人には備わっているため、呼吸回数が増加したことが一概に呼吸仕事量の増加に結び付くわけではないと言えます。
<参考文献>
・Lumb,Andrew Nunn's.Applied Respiratory Physiology Elsevier Health Sciences.2017
・DeanR.Hess他 田中竜馬他訳 ヘスとカクマレックのthe人工呼吸ブック第2版 メディカル・サイエンスインターナショナル 2015
・John B.West 他 桑平一郎他訳 ウエスト呼吸生理学入門正常肺編 第2版 メディカルサイエンスインターナショナル 2017
Q2.血ガスの頻度は?(モニタリング)設定変更ごとにどれくらいが望ましいでしょうか?
ベッドサイドのモニタリング(SpO2やETCO2)を用いるとリアルタイムで評価できます。
血液ガス分析で得られる追加の情報というと、酸素化はPaO2、換気についてはpH(PaCO2とETCO2は乖離がある場合もあります)になるでしょうか。
酸素化の評価でよく用いられるのはP/Fですが、血液ガス分析の情報が必要です。それでは、PEEP変更後に血液ガス分析をいつ行うべきでしょうか?PEEPとは肺胞の虚脱を防ぐ圧であって肺胞をリクルートする圧ではありません。肺胞にかかる圧が最大となるときに虚脱した肺胞が開いていくので、肺を開く圧はプラトー圧になります。プラトー圧は吸気終末でしかかからないのでそんなにすぐには改善しません。PEEPをあげた分潰れずに残る肺胞が増えていく、じわじわ増えていくイメージです。酸素化が安定するまで、少なくとも20分くらいは待った方が良いという意見もあります1)。ARDS患者のPEEPを変更し血ガスをフォローした研究では、PEEPを下げると5分で平衡に達するのと比べ、PEEPをあげた後は酸素化が安定するまで1時間以上かかったとする報告もあります2)。また、ARDSの原因が肺以外にあるよりも肺炎などの直接的な肺損傷によるARDSの方が平衡に達するまでに時間がかかると言われており1)、重症度や病態によっても異なる可能性があります。
換気については、酸素化よりも早期に平衡状態に達しますが、通常は酸素化の評価のタイミングに合わせて行うことが多いと思います。
個人の経験に基づく意見ですが、急性期では呼吸器設定を変更してから15-30分後に酸素化を再評価することが多いと思います。ただそれは改善傾向かどうか(PEEPの反応性)を評価していると思っていますが、定常に達するにはもう少し時間がかかることが多いようです。
<参考文献>
1.Tugrul S, et al. Time required for equilibration of arterial oxygen
pressure after setting optimal positive end-expiratory pressure in acute
respiratory distress syndrome. Crit Care Med. 2005;33:995-1000.
2.Chiumello D, et al. Time to reach a new steady state after changes of
positive end expiratory pressure. Intensive Care Med. 2013;39:1377-85.
Q3.なぜSIMVをweaningに用いると人工呼吸離脱までの時間がかかるのか?
人工呼吸器離脱の方法を比較した研究があります(下記参照)。自発呼吸トライアル(SBT)を失敗した患者に対し、➀間欠的陽圧換気(SIMV)で徐々に換気回数を減らしていき抜管する方法 ➁CPAP+PSでPSの補助を徐々に減らしていく方法 ➂1日1回、患者から呼吸器を外して(酸素吹き流しにして)評価をし、2時間大丈夫そうなら抜管を行う方法を比べていますが、➀が最もweaning期間が長くなり、➂が短かったということでした。
SIMVではweaningをする場合換気回数設定を減らしその後様子をみて、大丈夫であれば換気回数を下げる、というように繰り返します。このような方法が呼吸器離脱までに時間がかかるとされています。
<参考文献>
・Esteban A, et al. A comparison of four methods of
weaning patients from mechanical ventilation. NEJM, 1995;332:345-50.
・Brochard L, et al. Comparison of three methods of
gradual withdrawal from ventilatory support during weaning from mechanical
ventilation. AJRCCM,1994:150:896-903.
Q4-1 Biotraumaとはなんですか?
Q4-2 陰圧により肺障害はBarotraumaに含まれますか?また、陰圧による肺障害を予測することはできますか?
Q4-1:「biotrauma とはなんですか?」
人工呼吸器による肺の障害をVentilator-associated lung injuryと呼ばれることは、一般的になりつつあります。
VALIの機序としては人工呼吸器による高い肺胞内圧により引き起こされるbarotraumaや人工呼吸器の過大な1回換気量によって引き起こされるvolutrauma、無気肺を発症している部分を強制的に換気することにより発生するshear stressによるatelectraumaなどが従来報告されてきました。しかし、2005年から2007年頃から、これらの3種類のVALIの他にbiotraumaと呼ばれる病態が注目されました。これは、先ほど話をした3種類の機序により侵襲を受けた肺がサイトカインを大量に生成する場所となり、肺から産生されたこれらのメディエーターが血中に吸収され体内を循環し、肺にさらなる障害を起こすとともに、遠隔臓器にも障害を起こすという病態です。
Q4-2:「陰圧による肺障害はBarotraumaに含まれますか?また、陰圧による肺障害を予測することはできますか?」
Barotraumaはvolutrauma、atelectraumaとともにVALI(Ventilator associated lung injuly)の一つとして知られています。
「陰圧による肺障害」とは自発呼吸がある状態を想定していると解釈してお話させていただきます。
肺に空気を送り込むには、人工呼吸器においては陽圧によって、自発呼吸においては陰圧を作り出すことによって圧較差を作り出していることはワークショップの中でもお話させていただいたと思います。圧較差を作り出し、換気量を得るということはBarotraumaもしくはVolutraumaを引き起こす危険性があります。どれほどの換気量や圧で肺障害が起こるかは患者さんによって異なりますが、ARDS Networkでも肺保護戦略として低容量換気(6ml/kg)・plat30cmH2O以下での管理が推奨されているのはこのためです。またplat圧は人工呼吸器のモニタリングによって得られる値ですが、自発呼吸による陰圧が強い状態の場合、測定したplat圧以上の圧が肺にかかっている可能性があります。よって強すぎる自発呼吸はコントロールするべきではないかというのも現状議論にあがっていることころです。
前置きが長くなりましが、自発呼吸が強すぎることにより換気ドライブの亢進により大きすぎる一回換気量・高い肺胞内圧が引き起こされることが示唆されますので「陰圧による肺障害はBarotraumaに含まれる」と考えております。
「陰圧による肺障害を予測することはできますか?」というご質問に関してですが、現状では人工呼吸器管理中に食道内圧を胸腔内圧に置き換えて経肺圧を測定し陽圧と陰圧による圧較差の合計を数値化して評価をする方法も用いられていますが、現状明確なエビデンスがないというのが現状です。しかし、先生方は毎日ベッドサイドで患者さんの診療にあたっていると思います。その際に患者さんの呼吸様式、呼吸補助筋の使用、呼吸回数、表情などを観察しアセスメントされているかと存じます。これらの所見から圧障害が起こるという関係性は証明できませんが、「強すぎる自発呼吸」の存在を示唆することはできるかと思います。よって回答としては「現状陰圧による肺障害を予測することはできない」というのが回答となります。
<参考文献>
・安田英人 第5回ワークショップで学ぶ人工呼吸 配布資料
・Lumb,Andrew Nunn's Applied
Respiratory Physiology . Elsevier Health Sciences.2017
・The ARDS network:
ventilation with Lower Tidal Volume as Compared with Traditional tidal Volumes
for Acute Lung Injury and ARDS. New England Journal of Medicine
2000;342:1301-1308
Q5.実臨床ではどのようにBest peepを決めていますか?
とても難しい質問ですね。
“どのようにしてBest peepを決定したら良いか”、という疑問に対して、これまでに多くの研究が行われてきましたが、明確な答えが出ておらず誰もが悩んでいるのが実情です。Best PEEPを決定するために指標とされているものとして、
1.駆動圧driving pressure
2.経肺圧transpulmonary pressure
3.動脈血液ガス分析
4.PEEP/FIO2
table
5.Best compliance method
6.Pressure–Volume curve
7.Stress Index
8.画像を用いたPEEP設定
などが報告されています。実際、どれもまだまだ検証段階であり、残念ながら“これが一番!”という方法はないというのが実情です。
さて、では研究上の話ではなく、実際の臨床で特別なモニタリングができない場合にどのようにしたら良いのか、という疑問が生じてしまいますよね。ここには個々人のプラクティクスがかなり異なっているために一概には答えを提示できませんが、一つの方法をご紹介します。
無気肺を作らず、肺胞をリクルートし、有害事象が生じないように、というのが基本となります。それらをバランスよく評価して、その時の臨床状態に合わせてどれを最優先させるかを考えます。PEEPを少しずつ上げていき、酸素化の改善はもちろん、換気量の変化、吸気努力の変化をまずはモニタリングします。
酸素化の改善
PEEPを上げていくと平均気道内圧が上昇するために最初は酸素化の改善が認められますが、あるところを過ぎると肺胞の過進展によりV/Qミスマッチが起こり、逆に酸素化が低下してしまいます。よって、それ以上のPEEPを上げることは有害事象に繋がります。
換気量の変化、吸気努力の変化
PEEPを上げていくと無気肺が改善し、機能的残機量が増えることにより一回換気量が上昇します。それにより余計な吸気努力をする必要がなくなるために、他覚的評価できる患者呼吸仕事量も低下することにつながります。
有害事象が生じないように
PEEPは酸素化の改善、換気量上昇、呼吸仕事量軽減に寄与することになりますが、残念ながら有害事象が認められるもの事実です。PEEPの有害性としては、気道内圧上昇、静脈還流量低下、肺血管抵抗増加/右室後負荷増加、肺胞過伸展によるコンプライアンス低下、ICP上昇/CPP低下が考えられます。
結局のところ、上記3つのバランスを考えながら設定することになります。個人的には、機能的残機量の増加による換気量上昇・吸気努力低下をモニタリングしながらPEEPを上昇させ、同時に酸素化の改善がどの程度得られるかもモニタリングします。もちろん、同時に有害事象発生の有無を確認します。血液ガス所見も参考にしながら、パラメータに変化が生じなければPEEPを上げることは避け、そのPEEPで肺の改善を待ちます。逆に、酸素化や換気量が致死的でPEEPを上げることにより少しでも酸素化や換気量改善が認められるのであれば、多少の有害事象は我慢することもあります。
どのような方法を選択するのかに関しては、実際の臨床状況が大きな影響を及ぼすことになりますので、熟練した臨床能力が必要とされます。なので、単純に考えて、lower PEEP/FiO2 tableを用いたPEEP設定 (詳細はARDS netを参照)をするというマネージメントが現実的なところでもあります。
Q6.ARDS患者を自発呼吸で管理する際に呼吸努力が強く、TV>10ml/L/kgになるようなとき、PSを下げたほうがよいのでしょうか?それとも、呼吸努力を助けるためにある程度PSを維持したほうがよいのでしょうか?
質問症例は、ARDSを発症し自発呼吸にプレッシャーサポート(PS)を加えた換気様式で人工呼吸管理を行っておられます。モードとしては、CPAP、またはSIMVの2つに絞られます。呼吸努力が強く、TV>10ml/L/kgとなる様な場合は、吸気努力によって胸腔内圧が下がり、一回換気量が増加しているものと考えられます。CPAPやSIMVはA/Cと比較し呼吸仕事量は増加してしまうため、質問にあるようなARDS症例でコンプライアンスが低く、呼吸努力が強い場合は、A/Cへ変更し、吸気流量や吸気時間、トリガーなど同調性に関係する項目を調整する必要があります。肺疾患が改善し、コンプライアンスが上昇して呼吸仕事量が軽減してきた段階でCPAPなど自発呼吸中心の換気様式へ変更し、PSを段階的に下げます。
肺疾患が改善しCPAP+PSに変更した後でも一回換気量が増加する場合があります。これは、気道抵抗の低下やコンプライアンス改善に伴う肺機能の改善か、吸気努力の増大が考えられます。この様な場合はPSを下げます。
一方、上記のPSがPCVにおけるDriving pressure (PIP-PEEP)であった場合はどのように考えれば良いでしょうか?よく質問を受ける内容です。結局は患者さんは苦しいから肺胞を広げようと思って強い陰圧呼吸を発生させて呼吸をするので、一回換気量が多く入ってしまっている患者さんの呼吸パターンは努力様であることが多いです。その際の一回換気量増加は明らかに害となります。上記の場合はたとえDriving pressureを下げたとしても肺胞にかかる圧に変化は生じない場合が多いです。機能的残気量が低下している場合にはPEEPにより,機能的残気量が改善することで呼吸努力が減少することがあります。しかしリクルートできない肺の場合には、その強すぎる吸気努力による一回換気量増加、経肺圧上昇をおさえるためにDriving pressureを可能な限り下げるために鎮静を行うこともあります。
1.同調性が悪い時にどこを直したらいいのか悩む事が多いのでいくつか症例(シナリオ?)をあげて頂けるとうれしいです。
同調性が悪い=非同調として回答いたします。
非同調の種類は以下の通りです。
1.トリガー
・ミストリガー
・オートトリガー
・ダブルトリガー
・リバーストリガー
2.流量
・流量のミスマッチ
・不適切な立ち上がり時間
・モードの非同調
3.タイミング
・早い吸気終了
・遅い吸気終了
すべてを説明することはできませんので、今回は症例を1例あげ、どのような考え方で進めばよいのかをお示しさせていただきます。
症例:70代女性(身長160㎝ 体重50㎏)肺炎にて挿管。モード:AC/VC
設定:TV 400ml 流量30ml/min 漸減波 換気回数 12回/分 PEEP5㎝H2Oフロートリガー 2L/min
患者データ:最大吸気圧:20㎝H2O 呼吸回数25回/分 身体所見として陥没呼吸がみられる、
人工呼吸器グラフィックモニター
※上が圧波形 下が流量波形 |
上記の波形での異常は流量波形・圧波形に現れています。
まずグラフィックの異常ですが、設定した流量が患者の吸気努力にみあっていない場合に圧波形が凹んだ状態を起こします。これをサギングといいます。患者のフィジカルサインとしては、頻呼吸・陥没呼吸、胸腹奇異呼吸を認めることがあります。吸気流量が足りないことで呼吸仕事量の増大による呼吸筋疲労、肺胞拡張圧(肺胞内圧−胸腔内圧)の上昇による肺のゆがみの出現から肺障害を起こす可能性がありますので注意が必要です。設定項目の変更としては、流量設定を上げるもしくは呼吸器モードをPCVもしくはPSVへ変更する、といったものがあります。
このように非同調はグラフィックで発見できる異常・フィジカルサインとして観察される異常などの客観的情報と、患者の訴えを聞き自身の主観的な情報を総合し判断することが求められます。
2.PCVでsaggingのような波形が出たときは流量が足りないと考えて吸気時間を短くするといいのでしょうか?立ち上がりを調節するのでしょうか?PCVでは肺の状態も流量に影響するとよんだのでコントロールが難しそうと感じました。
吸気の立ち上がりの際にサギングのような波形が出る場合は質問者の考えた通りライズタイムを調整する必要があります。患者の吸気始めに吸気時呼吸補助筋の使用がある、吸気の立ち上がり時に不快を感じているなどの影響が出ている可能性がありますので確認してみましょう。
吸気の初期でない場合、リバーストリガーと吸気努力の影響の可能性があります。まず、リバーストリガーですが、これは人工呼吸器の強制換気によって呼吸中枢が刺激され起こるといわれています。深鎮静や入眠中に起こりやすいとされています。強制換気の途中で自発呼吸がおこりますので、流量波形にへこみがみられたのち、吸気時間の設定によっては二段呼吸を観察することになります。この場合はRASSなどの鎮静スケールを用いて鎮静の度合いを評価し鎮静が深すぎれば鎮静薬を減量するという方法があります。
次に吸気努力の影響ですが、設定した吸気圧に打ち勝つだけの吸気努力、つまり陰圧呼吸が発生すればへこんだ圧波形となり、結果サギングが観察されます。この場合は吸気圧を上げることが必要になってきます。患者自身も人工呼吸器から送られてくる圧が足りないと感じていることがあるので吸気時の呼吸補助筋の使用がないかを観察し、訴えを傾聴し不快でない圧を提供できるようにすることが必要です。その上で吸気時間の設定は調整することが必要ですので、吸気時間を変更するのは第一選択とならない可能性が高いです。また、むしろ吸気時間を短くするより、長くすることの方が必要になると思います。
PCVでは設定した圧と時間を患者に提供しますので、自発呼吸がない場合は流量のグラフィックで肺の状態をモニタリングすることができます。ですので、設定した吸気圧・時間が適切かどうかを判断する指標としていただくことができます。流量波形そのものをコントロールはできないというのが回答となります。
3.ECMO使用中、呼吸はどのようにしていますか?
全ての人工呼吸患者に対して肺保護戦略を行なうべきですが、ARDSなどの急性呼吸不全患者ではなおさらです。ECMO中の至適な呼吸管理目標というのはまだわかっておりませんが、肺保護換気は基本です。
ECMOセンターの横断研究では、77%でlung rest setting、76%で1回換気量の目標は6 ml/kg以下とされていたようです(PMID: 24983618)。
プラトー圧の上昇は避けなければいけませんが、ECMO中のPEEPについては一定の見解はないようです。ECMOを導入するような患者は重症のARDSなのでhigher PEEPが良い気がしますが、PEEPに反応するかどうか(どれだけ肺胞がリクルートされるか)評価し、余計なPEEPを避けるのが良いでしょう。回答者個人としてはPEEP 10-15 cmH2O程度になることが多いですが、状況によります。
Awake ECMOと呼ばれるように覚醒させることで鎮静薬の有害事象を回避でき、場合によっては抜管するとVAPなどの合併症も減るかもしれません。また、自発呼吸の方が横隔膜機能障害も減るかもしれません。しかし、覚醒により換気量制限ができず、呼吸仕事量が増え、ECMOのsweep gas流量を調整し、pHや二酸化炭素をコントロールしても、肺傷害のリスクが懸念されるような状況では深鎮静が必要な場合もあります。
4.肺内で時定数がさまざまに混在する人ではどのように呼吸器設定を調整していますか?
人工呼吸器では肺内の各部分の時定数を測定することは困難ですので、統合して示される肺メカニクスを参考にすることになります。
ARDSを例に挙げます。ARDSは肺内にガスがある部位(含気肺)と、ない部位(無気肺)が混在しますが、人工呼吸器でそれぞれの時定数(メカニクス)は測定できませんので、人工呼吸器で測定したメカニクスを評価して設定をしていきます。このときの注意点は肺障害です。無気肺部分の拡張を促すために陽圧をかけていきますが、高い換気圧や換気量を設定すると含気肺が過膨張するなどして肺障害をきたすこともあります。そのためにプラトー圧などの評価が必要となります。以上のことから、基本的な人工呼吸器設定はワークショップで実施した考え方と同じです。換気については一回換気量と換気回数を設定、酸素化についてはPEEPとFiO2を設定しその後の評価(肺メカニクスや血ガス、呼吸様式など)をしていくことになります。
5.APRVって何に役にたつのか教えてほしいです
APRVの本質はCPAPです。つまりPEEPをかけたい=肺をリクルートメントしたい、というのが一番の目的です。しかしCPAPで高いPEEPをかけると換気に必要な呼吸仕事量が増加してしまうので、結果的には換気量が不足してしまいます。それを補う目的で圧を解放(Plowまで下げる)して換気量を稼ぐことになります。しかし、肺胞にかかる経肺圧は圧解放に伴い上昇することになり、肺障害が危惧されます。それらを総合的に考えてAPRVを選択することになります。
よって、何に役に立つのか、というご質問に対しては、肺のリクルートメントと、換気量低下に対する換気量確保、でしょうか。Weaningの方法で、drop and stretchと言われていた時もありますが、本来はstretch and dropであり、CPAPであることを意識させられますね。
6.分時換気量を上げたいときに死腔を考慮してなるべくVTを上げたいと思うことがあるのですが、VTを上げずにRRを上げる戦略でも問題ないのでしょうか?
一回換気量を下げすぎると死腔換気となってしまうため、いくら換気回数をあげてもCO2を改善させる有効な換気量を得ることはできません。死腔のことを考える事はとても重要です。今回の質問は、CO2を改善するために分時換気量をあげるならどのような戦略が有効か?ということですね。
ワークショップの講義でも取り上げましたが、一回換気量は哺乳類でおおよそ6ml/kg、人工呼吸器の設定でも6ml/kg〜8ml/kgで調整すると言いました。その理由は、一回換気量が大きすぎたりすると肺が障害(容量損傷)を受けたり、非同調を起こしやすくなるためでしたね。つまり、分時換気量をあげようとした場合、一回換気量でなんとかしようとすると現実的には6〜8ml/kgというごくわずかな幅でしか調整ができないのです。
一回換気量を上げる場合と、換気回数を上げる場合で肺胞分時換気量の変化を比較してみましょう。
<一回換気量をあげた場合>
予測体重60kg、死腔150mlとする。6ml/kgの場合、60×6ml=360ml
分時換気量は、換気回数12回の場合、(360ml-150ml)×12回/分=2.5L/分
8ml/kgの場合、60×8ml=480ml
分時換気量は、換気回数12回の場合、(480ml-150ml)×12回/分=3.9L/分
<換気回数をあげた場合>
予測体重60kg、死腔150mlとする。6ml/kgの場合、60×6ml=360ml
分時換気量は、換気回数12回の場合、(360ml-150ml)×12回/分=2.5L/分
分時換気量は、換気回数20回の場合、(360ml-150ml)×20回/分=4.2L/分
分時換気量は、換気回数25回の場合、(360ml-150ml)×25回/分=5.2L/分
このように、一回換気量では体重あたりの換気量の幅がかなり制限されているので、6→8ml/kgにあげたとしても、それほど分時換気量をあげることができないのです。肺胞分時換気量を単純に計算で考えると換気回数をあげるほうが効果的かもしれません。しかし、換気回数はやたらと高くしてはいけないのでしたね。換気回数をあげると呼気時間が短くなりますので、非同調やグラフィックの講義でも話したように呼気が吐ききれているかどうか、エアートラッピングが起こっていないかなど注意する必要があります。
さて、もう一つ考えてほしいことがあります。例えば分時換気量を上げたい場合、おそらくCO2が溜まってしまっている状況になっていることでしょう。その時、単に換気回数を上げるのではなく、なぜそのようなことが起こっているのかを考えることが大切です。つまり、肺胞自体が虚脱していて有効な換気が得られてないということも考えられるからです。そのような場合は、もしかしたら肺リクルートすることにより換気できる肺胞が増えて有効分時換気量が増加することにより、結果的に実質上の分時換気量が少なくて済む場合があります。
7.一回換気量がどれだけ圧を下げても高容量で換気をしている場合はどのように工夫していますか?(下記症例に基づいた質問)
症例)劇症肝炎で中枢抑制、代謝性アシドーシスがありました、時々そのような呼吸を左右する状態のものはないのに高容量となる症例があります。TVがおおきいからとPSを下げすぎると今度は呼吸仕事量の負担が大きくなりすぎるのではとなり、結局まぁまぁ高容量で経過を見てしまいます。
換気量が増えてしまう理由は大きく分けて2つあると考えられます。
1点目は換気量は十分であるが、不安や疼痛、また敗血症そのもののために呼吸数が増加し、呼吸性アルカローシスに至ってしまっている場合です。こちらは原因そのものに対処することが必要であり、それでも換気量が増えてしまう場合は、まずはしっかりと鎮痛を行い、その後鎮静することのメリットデメリット、換気量が増えることのメリットデメリットを天秤にかけながら最終判断をすることになります。一概には決められないところがあります。
2点目は本当に換気量が不足している場合です。こちらは細かく分けるとさらに2つに分かれることになります。1つ目は肺胞には問題なく、代謝性アシドーシスの補正のために必要換気量が多くなってしまっている場合です。こちらの場合は代謝生アシドーシスが落ち着くまでは致し方ないところがあると思います。やるべきことは原疾患のコントロールを行うことであり、改善までには時間がかかってしまう場合は透析で補正してしまうこともありです。それにより換気量確保が必要なくなれば肺障害を減らすことができます。こちらも透析と換気量増加によるメリットデメリットを考えつつ、天秤にかけていくことになります。もう一点は、死腔が相対的に増えてしまい有効な肺胞換気量が確保できていない場合です。また、機能的残気量 (FRC)が低下している場合が考えられます。FRCを改善させるためにはPEEPなどでリクルートメントが必要となりますが、PEEPをかけすぎると死腔換気が多くなるために諸刃の剣隣、注意が必要です。実際は臨床所見を見ながら評価していくことになります。
提示いただいた症例では、元々の肺の状況、代謝生アシドーシスの改善の見込み、などを総合的に考えながら判断することになると思います。PSを下げたところで自発呼吸の陰圧による経肺圧上昇は抑えられないことになります。
8.頻呼吸がどうしても治まらないときはどのように工夫していますか?さらに、吸気流量やトリガーをこれ以上は調整しても変わらないときはどのように対応していますか?
質問者が考えた通り、人工呼吸器の非同調が原因の場合は吸気流量やトリガーなどの同調性の要素を見直す必要がありますね。
リークや心拍、人工呼吸器回路の結露などによるオートトリガー、流量の不足による呼吸仕事量の上昇によるもの、吸気時間の設定が短いことによる二段呼吸などがあります。Auto Peepが発生している場合はミストリガーによる呼吸仕事量の増加による頻呼吸がないかも検索をしてみる必要があります。
これら同調性の要素を適切に調整した上で頻呼吸が持続する場合、敗血症や発熱などの代謝の亢進・機能的残気量が減少した場合・生理的な反応による頻呼吸が考えられます。
まず代謝の亢進ですが、これは原因のコントロールをすることが必要になります。機能的残気量の低下が原因の場合はPEEPを適正に設定することでガス交換の効率が改善し頻呼吸が改善される場合があります。生理的な反応の場合、多くは高二酸化炭素血症に対する換気応答、pHに対する換気応答、呼吸中枢に異常をきたしているような状態や心不全など循環の影響からくる異常呼吸パターンによるものが考えられます。また、不安や恐怖、痛みや怒りなどの精神的ストレスや情動の変化によっても起こると言われていますので、原因をある程度特定した後、コントロールすべきかを考える必要があります。頻呼吸でも経肺圧が増加していなさそうな場合や吸気努力が強くない場合がこれにあたります。
9.呼吸器離脱を目指さないALSなどの患者さんの呼吸器設定をどうするべきか。ある程度弱いサポートで、本人の呼吸努力を残してリハすべきか、それともがっつりとサポートすべきか
ALSのような進行性神経筋疾患症例は、呼吸筋力低下に伴い人工呼吸器が必要となり、離脱は困難となります。よって基本的には調節呼吸にする必要があります。その調節呼吸をどこまでサポートすべきか、に関しては一定の見解はありません。ALSのタイプや進行状況により、まだ歩行器で歩け、自発呼吸はあるが不十分なため呼吸器装着する場合もあり、このような時には患者さんの同調性を考慮し、吸気努力に見合っているかを評価して設定調節する必要があります。本当はもっと吸いたいのに呼吸筋力低下のために吸気努力自体を生み出すことができなければ、患者さんの身体所見やバイタルサイン、人工呼吸器から読み取れる“吸気努力のサイン“を読み取ることがかなり困難となります。正しく読み取ることができなければ患者さんに不快な思いをさせることになるので、迷ったら”ガッツリ“サポートをする方が賢明なのではないかと考えます。
上記のように離脱も困難で“ガッツリ”サポートをしている状況下でリハビリテーションが必要なのか、という疑問も生じると思いますが、患者さんのQOL向上にはとても重要となります。症状が進行し、人工呼吸器が終日必要となった時期では、リハビリテーションの目標は、胸郭可動域を維持し、身体の安楽を図ることや体位ドレナージを含めた排痰法での気道クリアランス、人工呼吸器装着下でのQOLの向上などが主体となってきます。この際は、リハビリテーション時でも調節換気の人工呼吸器設定にする必要があります。
第3回までの解答~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Q.ライズタイム、フローパターンの違いとは何でしょうか?
A.ライズタイムとは、EPAPからIPAPに達するまでの時間のことをさします。
NPPV専用機には吸気流量を調節する「Rise」という設定項目があり、
1(最も速い)~5(最も遅い)の5段階で設定されます。基本的には患者の吸いやすさに合わせ調整します。ご質問でのフローパターンとは、吸気波形を示しているものとしてお答え致しますと、NPPV専用機では吸気波形を設定することはできません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Q.CO2が貯留してレベル低下、気道確保がやや不確実なのをどこまでねばるのでしょうか?
A.ガイドラインでは、『CO2ナルコーシスによる意識障害は短時間で意識回復することが多いので、例外として適応とすることが多い』とされています。急性期導入の注意点として、『多くの場合NPPVを開始して30分~1時間後に動脈血ガスを測定』するとガイドラインにも記述されていますので、短時間の解釈としては30分~1時間を目安にされると良いのかもしれません。
ただ、これはCO2貯留の問題だけですので、気道確保が不確実についての問題があります。気道が確保できない状態というのはNPPVの禁忌または適応注意となります。NPPVを装着しても胸郭の運動が見られていない、1回換気量が少ない、呼吸音が聴取されないなど換気が十分に行われていない状況は気道の問題も考える必要があります。
気道確保が十分にされていないと判断された場合、または気道確保が難しい可能性を予測している場合は、即座に気管チューブによる気道確保の上、人工呼吸器を装着できる環境を整えてNPPVを使用することが重要です。
当然、これだけの対処をしなければいけませんので、医師だけで孤軍奮闘するのではなく、看護師、臨床工学技士、理学療法士など呼吸ケアに関わるスタッフでチームを組んで対処できる環境が十分整っている事が条件になります。
参考文献
・NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン 改訂第2版 日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会
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Q.終末期の呼吸不全で着脱のタイミングはどうしたらよいでしょうか? ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
A.終末期の呼吸不全に対する装着はガイドラインでも『終末期や悪性腫瘍に伴う呼吸不全に対する緩和ケアとしてNPPVを使用してもよい』とされています。ただ、そうなってくると“いつ”離脱するのかという点で非常に苦慮することが多いかと思います。
ガイドライン上でも制限なし、挿管しない、症状緩和のみといった形で目標設定がされているように、担当されている患者・家族と治療やケアの方向性について確認し、どこまでNPPVを使用していくかを共通認識しておくことが重要であると思います。臨床的な場面での例を考えると、お亡くなりになるまで装着している場合も考えられますし、話がしづらくなってきたから最後に話をしたいので外して下さいという場合も考えられると思います。 その際、患者・家族が納得して治療やケアを決定していくプロセスが大事になってくると思います。明確なタイミングはお示しできませんが、終末期という状況を踏まえ良い形でNPPVを治療やケアに活かしていきたいですね。
参考文献
・NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン 改訂第2版 日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会
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Q:IPAP・EPAPの上げ方・下げ方の調整はどのようにするとよいのでしょうか?
A:IPAP・EPAPの上げ方・下げ方の調整は、基本的に汎用の人工呼吸器と同じように、酸素化・換気・同調性を意識した設定の変更をします。
初期導入の設定についてですが、ガイドラインには『それぞれの圧を増減して患者が楽に呼吸できる至適圧をバイタルサインおよび呼吸状態を評価しながら決定をする』と
記載があります。しかし、どのくらい時間をかけて患者が楽に呼吸できる至適圧を見つけるかは記載がないため、患者の反応をみながら行う他ないかと思います。講義でも説明をしておりますが、導入時は低めの圧から設定し、患者が受け入れをしているかを確認して調整を図ることがポイントです。
注意するべき点としては患者が楽に呼吸できる至適圧を探して調整している時に、患者が苦しいと訴えた場合、圧が高すぎる/足りなさすぎるのか、マスクフィッテングが適正なのか等はその場で見極める必要があります。
IPAP・EPAPに関する身体的な評価として、換気については努力呼吸の改善をベッドサイドで確認したり、患者の1回換気量が増えていたりするのを確認していくことで行い、酸素化はSPO2の上昇を目安にしながら評価を行います。また、身体的な評価だけではなく、通常30分~1時間以内には血液ガスでの評価を行い、IPAP・EPAPの調整を行っていきます。一般的に15-20cmH2Oを超える圧は胃の膨満をきたす可能性があり、注意が必要になります。
【まとめ】
①導入時の換気様式、設定は患者さんに人工呼吸を行う目的によって選定する。
②導入時の至適圧は患者さんの状態をみて楽になる圧を見極めて設定する。
ただし、導入時は低めの圧から設定し、患者の受け入れ状態を確認すること。
③導入後IPAP・EPAPの評価は身体的側面の評価(呼吸仕事量の改善、1回換気量の観察、SPO2等)とし、
血液ガス(通常30分~1時間以内)での評価を行う。
血液ガス(通常30分~1時間以内)での評価を行う。
参考文献
・NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン 改訂第2版 日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会
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